配属希望の皆さんへ
小嗣研究室では現在3つの大きなテーマに取り組んでおり、新規磁性材料の創成と、高輝度放射光による機能解析、また機械学習による知識の抽出を行っています。これらの融合から、ありふれた元素で高い機能性をもつ、地球にやさしい材料の創製に挑戦しています。
小嗣研究室では、単純に機能の善し悪しだけで無く、その背後にある電子状態を明らかにすることで、物理的真実の解明に取り組んでいます。このような未開の問題に対して、蒸着装置やSPring-8や情報科学を活用しながら、情熱をもって研究にとりくみ、材料機能のデザインを行っています。
研究を進める上で、電子物性論や、磁性、量子力学などの物性物理学の基礎知識は重要な役割を担っています。また真空ポンプ等の真空技術、MBEなどの薄膜蒸着、プログラミングといったエンジニアリングの知識も必要です。また機械学習に代表されるデータサイエンス、Arduinoによるラピッドプロトタイピングなど、新しい技術を積極的に取り込むことも大切です。さらには、Makerムーブメントや、デバイス応用に向けた産業界の動向、デジタルトランスフォーメーションをめぐる国際情勢にもアンテナをはっておく必要があります。
研究にはこのように膨大な知識が要求されることは確かです。しかしながら私自身にとっても新しい技術が多く、日々新鮮な気持ちで研究を進めています。もちろん、専門の電子物性や磁性材料の分野は、しっかり指導を行う考えですが、あたらしい領域は一緒に勉強しながら、共に研究を開拓できればと考えています。
研究室に配属されると、これまで経験したことのないような課題や不可思議な結果に直面し、誰もが戸惑うことでしょう。予想通りの結果が得られず、辛さを感じることもあると思いますが、この世界で誰も答えを知らない問題に対して、自分なりの解を少しでも見つけられるようになれば、研究生活を楽しめるようになると思います。私自身も、ナノスケールの僅かな変化に伴って、物質全体の機能が大きく変化する現象をいくつも目の当たりにしてきましたが、その中で得られる科学的興奮は格別の喜びと言えるでしょう。深い洞察力と大胆な行動力で、この問題に取り組めば、きっとあなたを成長させてくれると思います。
小嗣研究室では、そのような研究の楽しさを少しでも早く味わえるように、また自分の可能性を少しでも多く発揮できるように、下記の教育体制で運営しています。毎週のゼミはもちろんのこと、随時ディスカッションを行いながら、メンバーが一丸となって研究を進めています。このようなディスカッションと、実験室での試料作成や、SPring-8での出張実験や、外部との共同研究、国際会議での研究発表を通じて、物理的真実の探求の楽しさを一緒に味わえればと思っています。また研究だけで無く、カフェや美術館巡りなど様々なイベントも開催しており、文化教養にも接してもらえればと考えています。配属を検討している学生は一度研究室に遊びに来てみて下さい。
年間予定
3月〜
新人歓迎会
研究室ガイダンス
8月〜
夏合宿・中間発表会
学会発表(国内・海外)
忘年会
1月〜
卒研・修士・博士発表会
学会発表(国内・海外)
送迎会
日常的スケジュール
コアタイム
平日 10:00~18:00
ゼミ 週一回(90分程度)
全体報告
輪講 (電子物性、磁性、情報科学)
論文紹介 (英語論文)
進捗報告会
ディスカッション(随時)
各チーム研究報告(3週間に一度)
出張
SPring-8、ISSP、NIMS
各種学会、国際会議
旅費等支給、代休あり
ゼミ(教科書)
2023年度
内田老鶴圃 固体の磁性
G. Grosso 固体物理学
杉山聡 分析モデル入門
2022年度
Ludmia Eckertova 薄膜物性入門
電気学会 磁気工学の基礎と応用
森北出版 はじめてのパターン認識
岩波書店 多変量解析入門
2021年度
C. M. Bishop, Pattern recognition and machine learning
J. K. Coey, Magnetism and magnetic materials
2020年度
内田老鶴圃 X線回折分析
共立出版 スパッタ技術
岩波書店 多変量解析入門
2019年度
内田老鶴圃 固体の磁性
培風館 統計力学 II
朝倉書店 機械学習
2018年度
共立出版 ナノ構造磁性体
技報堂出版 固体の電子構造と化学
丸善出版 機械学習
同好会(自主ゼミ)
ビッグデータ勉強会
LabVIEW同好会
TOEIC同好会
院試対策勉強会
(随時開催)